こんにちは。

色々と巷には成功哲学の本がたくさん並んでいる。人はそれを手に取り、できそうな項目をざっと見て、簡単にできそうで、しかももっと詳しく知りたい 場合のみ、その本をレジへと持っていく。つまり、売れる本には、何が書いてあるのかと言えば、誰にでもできそうだけれど、ちょっと知られていない秘訣が書 いてあるのである。

成功したいと考える人は、極端に言えば、「見栄っ張り」で、「他者評価に弱い」。「苦労しないで、人を見返したい」という気持ちを持っている。

成功哲学は、実はそういう人向けの商品で、そういう人が手に取って買ってくれるように書いてあるので、具体的にやる気にはさせてくれるけれど、突破口に対する自己解決能力の育て方については、一切触れていない。

 

基本的に、SEやプログラマは、自己解決していく仕事なので、自己解決能力は高い。でも、何故、彼らはいつもメンタルを病むのか。どうしてそういう 職業ほど、メンタルを病む人が多く存在するのか。そこには一切触れていない。理由は簡単である。SEやプログラマは、自己解決能力は高いが、コミュニケー ション能力は低い。元々メンタル面で弱い人間が集まりやすく、そこで自身はコンピュータを相手にするが、かといって、自分はコンピュータのように扱われる のは嫌だと言うパラドクスがある。

プレッシャーに弱く、ここぞという時に、体調を崩しやすい。本気を出していないという訳ではなく、彼らはいつも真面目なのである。

そういう人に向けて、努力は努力と思ってはいけない等と話をしても無駄な事である。

 

けれど、一般の人は、まず、自己解決能力さえおぼつかない。今日中にこれを仕上げて、他にこれをやっておけば、今度は楽になるという見通しを立てな い。今日中にこれを仕上げたら、仕上げたので、暇になったから、ネットを閲覧するというのが、実情である。その後、自分が何をやらなくてはいけないのか は、全く一切、頭の中にはない。

成功哲学を読みたがる人は、大体、こんな人が多い。何も次へ続く努力を考え付かないので、考え付こうと言われても、「そこからができないので、意味 がない」のである。他者の評価ばかりを気にして、人の仕事ばかりを気にする人は多い。けれど、そういう仕事では、上に登らないだろう。できることは、取れ ぬタヌキの皮算用ばかりである。

 

故に、次に続く努力を考え付くための教材をしこたま買い込んでくる人もこういう人である。

喜んで、これでできる自分になったと思って教材を買うが、そもそも、応用力が育っていないので、応用力を身に着けることが一番大事なのであるが、教材はそんなことを教えてはくれない。

 

それで、結局、どうしたらいいのか、周りを見て焦るばかりである。

 

結局、成功哲学というのは、お金を積んでも、他者の評価に左右されがちな、あなた自身には、気休め程度の内容しかない。もし、本当に天才的なひらめ きができる人がいたとする。その人の考えは、その人が説明しても、一般的に理解しにくい。何故なら、この人は、この人なりのひらめきで、努力をし続ける。 あなたに、目標の件での努力のひらめきがないのは、それは、あなたには、欠落している創造力という部分だからである。

努力のひらめきは、意外と簡単にできるわけでもなく、100人天才がいれば、100通りである。

 

そんな中で、あなたが教材を買って、教材貧乏になるのもいいが、結局は、その成功哲学の本を書いている人のカモになるだけである。成功哲学の本を書 いている人は、いかにもな、「場所」に住み、いかにもな「持ち物を見せびらかし」、いかにも、あなたに自分が「成功したと思わせる」演技をしている。その 内実は、結局は、教材を買う人で儲けるだけのさもしい奴である。

 

本当の成功哲学は、失敗し、挫折し、その中で己の経験則を十二分に生かすやり方しかないとわたしは思うが、その素質がないのなら、諦めて、まず、直面している問題解決から挑んだらどうかな。

 

 

成功哲学
ナポレオン・ヒル
きこ書房
2001-08