ピーター・パン [DVD]
ボビー・ドリスコール
ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
2010-05-21


こんばんは。

ふと、手元にあったDVDを子供と一緒に見た、そのDVDは実写版ピーターパンだった。何とも楽しい事ばかりを考えつく彼に、ついていって迷ってしまう迷子達がネバーランドに住んでいる。

ピーターパン自身は、結構な自己中心的な人間で、無責任が基本だ。反抗的でとても怒りやすい。恐らく自分を認めてほしい一心で、人の寵愛にひどく敏感で、 その愛を貰う為には、何でもする狡猾(ずるさ)を持っている。また、その為に、ちょっとした事で依存気味であるのも事実である。

ウェンディが彼の為にした事も、彼は自分の手柄と考えを持って行ってしまう。実に自己中心的な発想で、彼はいつでも、ウェンディみたいな女性を探してい る。大人になりきれないけれど、母性が強く、その人に何かしてあげたいと、頼まれもせずに世話をせっせと焼く女性が、ターゲットポイントとなる。無償の愛 をくれて、自分に都合よく立ち回らせる為に、何でもしてくれるウェンディは、母のようであり、彼にとって、必要な女性像だと考えられる。

けれど、ウェンディは、彼が大人になって、自分の手を取って、一緒に進んでくれる事を期待して、ピーターパンの世話を焼く。恐らく、祭壇の前にあなたを連 れて行ってくれて、将来を約束し、あなたを幸せにしてくれると考える。祭壇の前に行ったら、次は子供のこともある、安定した収入や情動の家庭を望むのは、 ウェンディの高望なのか。だからこそ、今日もウェンディ達は、ピーターパンに期待をして、裏切られる。

ピーターパンは、大人になるつもりはない。自分の刹那こそが永遠であって、その時々に非常に流されやすい。また、楽しい事を考えるのが上手だから、非常に 最初は居心地のいい、癒される男であると思う。一緒にいる時は楽しく過ぎるけれど、ウェンディの裏舞台には現実が山積みに残っている。何故なら、この男 は、将来を希望しても、将来性がない。元々、彼の中に、最初から将来のビジョンがないのだから。

何度も考え直して欲しいと思うウェンディをよそに、ピーターパンは、夢を追いかける。その夢は成功はしない。着実に一歩一歩夢へと進む事はしない彼ら。余 りにストレスをかけると、パチンコに夢中になったり、借金を作ってきたり、女性に逃げたり、様々な展開を行う。そして、ウェンディが期待するような、着実 な男には、改心しない。

どうせ、そのウェンディがいなくなっても、次のウェンディがいる事を彼らは熟知している。そうして、その女性の母性を堪能し、女性に捨てられると嘆く。嘆 く所を始めに見た次なるウェンディ候補は、ビックリする。こんな楽しくて素敵な人を、どうして捨てて行くのかと、考えたその時は、既に、あなたがウェン ディになったのだ。そして、甘い罠の中で、アリ地獄にはまるように、ウェンディは、そのまま、ピーターが何とかわいそうな人か、自分が幸せにしなくちゃと 思いこんで世話を焼き始める。ピーターにしたら、しめたもんだ。

女性に捨てられてきた経歴をあからさまに話す男がいて、明らかにあなたの同情を引こうと思って喋っている時がある。女性歴が続かない男は、何かあるもんで ある。現実面を全く見ない、見ようとしないその姿勢に、多くの女性は失望し、去る。けれど、ピーターは一向に意に介さず、自分は捨てられた弱い犬だとウェ ンディに訴えて、ウェンディの母性を引き出すのだ。自分が欲しいモノの為には、ずる賢さ、全開である。

多くのウェンディ候補は、ある程度まで深みにはまった時にピーターの正体に気がつくから、逃げて行ってしまう。口を酸っぱくしても、彼は大人にはならな い。現実を見ない。金は稼いでくるどころか、あなたにたかる始末。何でもあなたに尻拭いをさせる。一生成功はしない。あまりに、現実を見ない男に、嫌気が さすウェンディもいる。

その時、ウェンディは、初めて「大人になるのを嫌悪していた自分」から卒業して、「大人になる階段を上る」のだ。ピーターと言う存在がいなかったら、ウェ ンディは大人にならなかったかもしれない。何にせよ、ウェンディは、子供でい続ける為の舞台裏を見てしまう。それが、ウェンディにとって、自分の中のウェ ンディを脱ぎ捨てる時なのだと思う。

フック船長は、その点面白い存在だ。彼は、若い頃をピーターパンとして過ごし、年齢を気にしないで遊んで暮らした。いつしか彼は年をとり、新しく出てきた 若くてルックスのいいピーターに、次々と、追い抜かされて行く。焦りも出るし、怒りを吐きだす所もそんな時はもうない。そうなると、孤独の中に自分がいる 事に気がつくが、そうなった時は、既に寄り添ってくれるはずであった、「フック船長を温かく包みこむウェンディ」は、いないのがお約束だ。

実に意味深なお話しじゃないか。


ウェンディの母親が、上映中にこう言う。「お父さんは、夢を引出しにしまっているの。毎晩お母さんと一緒にうっとりして眺める。けれど、どんどん、夢は膨 らんで、引き出しは閉まらなくなるの。それでも、どんなになっても必ず、引き出しを閉める。それがお父さんの勇敢なところなのよ。」ピーターパンではない 男は、必ず引き出しを閉める。どんなに夢を見ても、引き出しを閉める。奥さんと一緒に。
私の障害、私の個性。 [ ウェンディ・ローソン ]
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ピーターパン ウェンディ コスプレ衣装 ハロウィン コスチューム
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